イラスト:Chao
教育評論家の親野智可等(おやの ちから)先生にうかがった、図鑑の選び方、活用法などについてのお話を、3 回に分けてお届けします。
第一回目は「図鑑の選び方・買い足すときのポイント」について。
書店に並ぶ図鑑は種類がたくさん。どれを選んだらいいのか分からないという方もいらっしゃると思います。これを読めば子どもに与えたくなる図鑑がきっと見えてきます。
ニューワイド学研の図鑑
一口に図鑑と言っても実にいろいろな種類がありますので、「わが子にどんな図鑑を選んであげればいいのか?」と迷ってしまう人も多いと思います。
図鑑を上手に選ぶために必要なのは、まず図鑑は大きく2種類に分けられるということを頭に入れておくことです。
それは、「博物型図鑑」と「テーマ型図鑑」です。
例えば、昆虫図鑑ではいろいろな昆虫が羅列的かつ博物的に紹介されていますし、植物図鑑ではいろいろな植物が同じように紹介されています。
これらが博物型図鑑で、動物図鑑、魚図鑑、恐竜図鑑などもこれに当てはまります。
なぜ、いちばん、一生、ひみつの図鑑
これに対して、例えば『なぜ?の図鑑』のように、「なぜ」をキーワードにして、「なぜうさぎの耳は長いの?」「なぜ夜になると星が出るの?」など、子どもたちが興味を持てるテーマに沿って編集してあるのがテーマ型図鑑です。
「ひみつの図鑑」「一生の図鑑」「いちばん!の図鑑」などもこれに当てはまります。
この2種類の違いを頭に入れた上で、次に進みます。
図鑑を選ぶときは、「子どもが喜んで見たり読んだりできるもの」を基準にするといいと思います。
ですから、博物型の図鑑を選ぶときは、昆虫が好きなら昆虫図鑑、恐竜が好きなら恐竜図鑑ということになります。
親御さんの中には、恐竜は学校の勉強に出ないから必要ないと考える人がときどきいます。
でも、本人が恐竜が好きなら、ぜひ恐竜を深めさせてあげてください。
もともと好きなことなら喜んで読みますし、知識もどんどん吸収します。
すると、そのことが誰よりも好きで得意になることができます。
これによって、自分に自信を持てるようになりますし、自分が好きなものを深めていく喜びを味わうこともできます。
同時に、好きなことに夢中になって頭を使っているうちに、認識力、思考力、記憶力、読解力、情報収集力などがつ
いていきます。
これらの能力は、勉強に使う能力そのもので、この能力が上がる事で、頭が良くなります。
学研の図鑑LIVE(ライブ)
私は、昆虫が好きな子なら昆虫図鑑を何冊も用意してあげるといいと思います。
すると、複数の図鑑の写真や説明を見比べたり読み比べたりすることができ、さらに疑問を持ったりいろいろな発見をしたりすることもできます。
知識もますます増えますので、さらに大きな自信が持てるようになります。
もちろん、他の分野にも興味を持たせたいという場合は、他の分野の図鑑も用意してあげてください。
はじめは興味がなくても、そこに図鑑があれば見るようになります。
そして、ページをめくっているうちに興味が出てくるということはよくあることです。
ですから、「深く」と「広く」の両方向で、ということですね。
ところで、博物型の図鑑の進化形として新たに登場しているのが、「学研の図鑑LIVE(ライブ)」シリーズのように、動画のDVDがついている図鑑です。
動画の迫力と臨場感は大したもので、子どもたちは大喜びで見てくれます。
そこで興味を掻き立てられるので、博物型の図鑑の中身にも興味を持って入っていくことができるのです。
さて、ここまで博物型の選び方を書いてきましたが、次はテーマ型の図鑑です。
テーマ型の図鑑は、はっきり言ってどれも面白いです。
つまり、どれも「子どもが喜んで見たり読んだりできるもの」に当てはまるのです。
いちばんの図鑑
なぜなら、もともと子どもが興味を持ちそうな面白いテーマを元に編集してあるからです。
テーマが面白いだけでなく、写真や絵も迫力がありますし、解説の文章もよく練られています。
ですから、図鑑とは言っても絵本のように読めるのです。
実際に、テーマ型の図鑑を読み聞かせに使っているという親御さんも結構います。
このようなわけで、これから新たに図鑑に親しませたいという場合や、特に興味のある分野がなくて博物型の図鑑を選びにくいという場合は、テーマ型の図鑑から入るといいと思います。
テーマ型の図鑑を楽しんでいるうちに、図鑑や本そのものが好きになるということもあります。
また、テーマ型の図鑑を楽しんでいるうちに、その子の興味・関心がはっきりしてくることもあります。
例えばそこで魚に興味を示したら、今度は博物型の魚図鑑を用意してあげるといいでしょう。
もちろん、同時に、水族館、海、河川などで魚についての本物体験をさせてあげれば、さらに興味が持てるようになるので更に効果的です。
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次回、第二回目は「図鑑を使ってもらいたい! そんな時、親の声掛けは?」
せっかく買った図鑑にもっと興味を持ってもらいたいのに、なかなか使わないわが子にはどう接したら良いのでしょうか?親野智可等先生にうかがいます。
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教育評論家
1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務め、退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の執筆に精力的に取り組ん
でいる。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど多数出演。
著書は『頭がいい子の図鑑の読み方・使い方』など、多数。
教師としての経験と知識を子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」(http://www.oyaryoku.jp/)を発行。教育系メルマガとして最大規模を誇る。